平(でぇら)の現人(あらひと)神様の祭りとゆかりの地を訪ねて 平成25年4月16日
山川町・高田町の地図
平周辺の地図
現人神様の山と障子ケ岳の遠景
平(でぇら)の現人(あらひと)神様(民話と伝説集より)
源平最後の決戦場、壇ノ浦の戦いに敗れた平家の一部は九州へと落ち延びたが、勝ちに乗じた源氏の追撃は厳しく、怒涛の如く追う手をゆるめなかったる 築紫から筑後へとのがれた平家は、山門清水寺の僧兵をはじめ郷土の援助に暫く力を得て飯江障子 ケ岳の麓、要川一帯に布陣して物見塚(山川町)に兵を置き最後の一戦を交えんと待機した。
雲霞の如く打ち寄せる源氏の大軍の前には勝つ術もなく、たちまちにして戦列は乱れ、川原は屍でうまり、流れはみるみる血に染まっていった。 刀折れ、矢尽きて、最早これまでとある者は腹を切って果て、ある者は山奥へ、川下へと命からがらに落ち延びていった。
そのなかで、
障子 ケ岳の森深い谷に身をひそめた平家の一族は、相続く敗戦で離ればなれになった肉親や一族の安否を按じながらも、追手の厳しさに身じろぎすらままならず、昼間は森にひそみ、暗くなるのを待って食べ物を探しに山を下りる有様で、里人に会うことも避け、不安な毎日を過ごした。
かくして数年が過ぎ、ようやく追手の姿が薄らいだ頃になって、次第に里人とも言葉をかわすようになった。しかし、平家と名乗って密告されるのではないかという不安は消えることはなかった。
「見知らぬ人じゃが、あんたは何ちいいなはるか?」
「わたしは
坂無といいます。上方から来たもので何もわかりません。よろしくお願いします。」顔立ちといい、挨拶のしぐさといい気品のただよう姿は、誰がみても育ちのよさはかくせなかった。
「坂無」という意味は、
坂がなくて平たいということで、大へん頓智のきいた返事をしたものである。後日になって、坂無よりも
坂梨という文字を使うようになったらしい。
おいおいと里の生活になじんだ頃になって、小さな石の堂を建てて、病死した者をはじめ、要川合戦で戦死した者、壇ノ浦で入水した平家一門の霊を慰め冥福を祈った。
今日、亀谷地区に「
平(でぇら)」という集落があり、20戸のうち18戸が坂梨姓を名乗っていて、
毎年4月16日を定めて家族揃って石堂に参り、法要が営まれている。
今在る「現人神」は、大正7年(1918)頃までは、これより東約百米余り下った場所にあった。又、石堂裏の三基の墓石は、あちこちに散在していた墓石を、ここに移したのである。
この「現人神」の記録については、明治初年頃に流行した廃仏毀釈の運動の際に、総ての記録を焼き捨てたので、一片の記録も残されていない。ただ人々の口伝えとして伝わる他にはその証しはない。
平集落の現人神様
私が生まれた中原家 祖母は約100m下の坂梨家から嫁いてきました。
私は小さい頃、平の母の里へ行った時は、家の玄関から南側に「現人神様の杜」を見て来ました。
家の裏の道は峠を越えて「朝日谷」と言う集落へ行きます。毎年、お伊勢さんの布教活動で山法師(やんぼlっさん)が通っていました。
私は小さい頃、山法師さんに占ってもらいました。若くして寿命がなくなるような記憶があります。
それを聞いて成人までは、それを意識しながら生活していました。
それが今、宗教や占いをしていることに繋がっているような気がします。
山川の遠景(天保古山頂に平家の一本桜(左写真)及び要川公園と物見塚(右写真)が見えます。)
要川公園の記念碑とゆかりの地風景 説明版写真はクリックすると拡大します。
物見塚と北側の遠景 説明版写真はクリックすると拡大します。
七霊滝と七霊宮 説明版写真はクリックすると拡大します。
要川の合戦に敗れて、待居川(要川の別名、源氏が攻めてくるのを平家が布陣して待っていたので、この名前がつけられた)の川副いに奥の方へ逃げのびた七人の女官がいた。
この女官達は身も心も疲れ果てて、最早これまでと滝壷に次々に身を投じて果てたという。その滝を「
七霊の滝」といい、滝の側に「
七霊宮」がある。
女官はその後、鯰に化身したと伝えられ、平の里人は今も「なまず」を食することがないということである。
平集落では
毎年4月16日に法要を行い、宮司の神事が終わった後は、午後3時から現人神様が祀られた場所に集まり宴会をしながら昔を偲ばれています。
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