2014東京災難画信3回目・都新聞に連載された竹久夢二の報告文
東京災難画信3回目
新聞に連載された竹久夢二の報告文
八・大正12年9月21日 金曜日 都新聞掲載
気狂日和の黒い雨雲が低く垂れて死体を焼く灰色の煙が被服省の空地をなめるように匍っている。人間の命の果敢(はかな)さを感じるには、まだ私たちはあんまり凶暴な惨害(さんがい)の渦中にいるのだが、諸々に高く積まれた白骨の山を見ると、今更のように、大きな事実を感ぜずにはいられない。
白骨の山の一つ一つには「緑町付近避難者」とか「横綱付近避難者」とか書いた立札がしてある。近親や遺族の人たちであろう骨の中から骨を拾っている。さすがに女は、箸を投げ出し、袖に顔を被うて泣き崩れる人もあった。
私にしても、この中に知人友人の幾人かがあるかもしれないのだ、祭壇の前で思わず帽子を脱いだ。
浅草橋まできて、乗合自動車に乗ろうとすると、ぎっしり人でつまった中へ、我先に乗ろうとするひしめき様、ここにも被服省の縮図がある。疲れきった自動車が、たまたまパンクすると、さあ切符を返せという騒ぎ。
東京災難画信 竹久夢二
九・大正12年9月22日 土曜日 都新聞掲載
郊外のある文学者の所へ、一人の見知らぬ女性が訪ねてきた。断髪で盲縞の筒袖をつんつるてんに着て、海水帽をかぶった17・8の女だそうだ。
「私たちの望んでいる世界が来そうですね。階級の差別が撤廃されれば、男女の区別も無くなるのが本当ですよ。女が日本髪なんかに結って大きな帯で振袖をしょうなしや、なする時代じゃありませんよ。」等と言ったそうだ。
こんな風に考えている人間が沢山あるようだ。花柳界を裏街へ持っていったり、彼女等の商売さえ取り上げれば、女も男も救われて世の中が品行方正になると、単純に思っている救済会とか婦人愛国会とかの貴婦人連が、子供のような洋服を着たり派手なお召を着て自動車へ旗を立てて焼跡を見物に出かける呑気さも馬鹿らしいが、女が悉(ことごと)く盲縞(めくらしま)のつんつるてんになって、どんどん男の仕事を奪っていく共同の時代を喜ばねばならないだろうか。
花の咲く木は皆伐ってそこへバラックの長屋を建てるのだろうか。世の中は趣(おもむき)を失い、女はもののあわれを忘れようとしている。
東京災難画信 竹久夢二
続きます。
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