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清水寺の仁王さん(瀬高町の民話)・千寿の楽しい歴史
清水寺の仁王さん(瀬高町の民話)

本吉の観音様の参道に大きな仁王門があります。その中に二体の仁王さんが祭ってありますがそれには、次のようなお話が伝えられています。

昔、筑後の国の本吉に”仁王”と呼ばれる大力士が住んでいました。身の丈(身長)2.7m、筋骨隆々としてひとにらみすると、泣く子もだまってしまうと言ういかめしい顔つきをしていました。

その大力ぶりもたいそうなもので、あばれ牛の角をにぎり、一度でひねり殺してしまったというほどでした。あちこちの村相撲に出ても向かうところ敵なく、力くらべのいなくなって相手を探しても国内には1人もいなくなってしまいました。ですから仁王は毎日その大力をもてあそんでいました。

そんなある日、仁王はふつしたことから、となりの中国に竜王という大力士がいることを耳にしました。それを聞いた仁王は、じっとしておることができませんでした。

「よし、竜王とやらがどれくらいの力持ちか、さっそく行ってためしてやろう。」と中国へ渡り竜王の家を訪ねました。

「私は、日本からきた仁王と申す者です。竜王殿は、世にもまれな大力士と聞いています。ぜひ一度、力くらべをお願いしたいと思ってはるばる参りました。」

これを聞いた竜王の奥さんは、少しもあわてずニコニコした笑顔でこたえました。

「それはそれは遠路ご苦労でございました。あいにく主人の竜王は留学しておりますが、帰りましたらさぞ大喜びすることでしょう。このところ久しく力じまんの方とお会いできなくてたいくつしておりますもの。」こうして仁王は竜王の座敷へ招き上げられました。

そこへ奥さんが大きな火鉢を軽々と運んできて、仁王の前にそっと置きました。
「さぞ、寒かったことでしょう。さあ、お手など、ゆっくり暖めてくださいな。」と言って、一礼すると去って行きました。

仁王は、なにげなく、火鉢を手元へ引き寄せようとしました。ところが、火鉢はそこに根でもはえたようにびくともしません。仁王はあっと驚きました。

今度は、少し力を入れて引き寄せようとしました。けれども、火鉢はびくともしません。仁王の顔は真っ赤になりました。

立ち上がると仁王は、両足をふんばると火鉢のふちに両手をかけ、全身の力をこめて持ち上げようとしました。それでも火鉢は仁王の非力を笑うかのように少しゆれただけでした。仁王の顔はだんだん青ざめ、ついには、がたがたとふるえだしました。

「ああ、なんということだろう。上には上がいるものだ。奥さんですらこの怪力、これでは竜王の力は底知れぬものだろう。とても私の比ではない。大恥をかいてしまうわい。」

縁側から飛び出した仁王は、港へにげ帰り船に乗り、いかりをまいて沖へ出ました。そこへ奥さんから事情を聞いて竜王はかけつけてきました。

「やあやあ、日本の仁王どのとか。もう一度、船をもどしなされ。逃げるとはひきょうではないか。」と、大声で呼びかけます。

仁王は必死で沖へ逃げようとしました。すると、竜王は、そばにあった20トンもあろうかと思われるいかりを仁王の船めがけて投げつけました。

いかりは船べりにくいこみ、仁王の船はだんだんと岸へ引き寄せられていきます。仁王は力をふりしぼってろをこぎますがどうすることもできません。万策つきた仁王は、日頃信心する観音様に救いを求めました。

「観音様、どうかお助けください。仁王は思い上がっていました。少しの力におぼれ自分を過信したことがくやまれます。これからは、もっと修行して力を良い方へ使いますからどうかお助けください。」と、大声で叫びながらお願いしました。

するとどうでしょう。船べりにかかっていたいかりがはずれ、仁王の船はするすると沖の方へと進んでいきました。


こうして、命からがら日本へ帰りついた仁王は、すぐその足で観音様のもとへまいりました。
このことがあって以来、仁王は、観音様の山門の門番をして仕えたということです。

          福岡の昔話より転載されたものです。

「ふるさとの昔ばなし」-瀬高の民話と伝説ー(瀬高町教育委員会発行)より。
by kusennjyu | 2011-05-22 15:58 | みやま市の民話と伝説
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