2011伝説 源にょむさんのとんち話の続き・千寿の楽しい歴史
本吉のお観音さん
瀬高んにき(辺り)は、養子ば迎えた家付きの嫁さんのこつ(こと)ば、「本吉のお観音さん」ち言うもんのも。
なし(なぜ)かちいうと、女性または女性自身のこつば「お観音さん」ちいうもんのも。
そうして、本吉のお観音さんな、立ち木の根の生えたまんま合歓木(ねむのき)ば刻(きざ)で千手観音ば造ってあるけん、家付きの嫁さんのこつば、本吉のお観音さんのごたるち言うとたんも。
ここから、伝説 源にょむさんのとんち話の続きです。
4.残った ろうそく
源にょむさんの子どんば集めて、謎々(なぞなぞ)さしたげな。
「ろうそく10本に火ばつけたりゃ風ん吹いて3本消えたげな。残りゃ何本か。」
ち聞かしたりゃ、だってん
「残りゃ7本」
ち言うたげな。
そしたら、源にょむさんの、
「違う、違う、3本しか、残らんばい。7本は燃えてしまうけん、残っとは3本たい。」
ち、言わしたげな。
※松尾静雄さんは続きも話され、、「3本」ち言うたら、「消えなかったつ、ろうそくは7本たい。」ちいうのんのも。
「どっちんしても、負けらっしゃるごと、なっちょるたんも。」
ち、話の落ちまでを話されました。
5.屁の匂いは どこまで
源にょむさんの、まあだ10代の若衆(わっかし)のころ、友だちと何人でん連んのうて清水山に遊びに行かしたげな。
お観音さんば拝(おご)だり、本坊庭園ば見たりして、ゆうるし(夕方)なってから、わいわいとごえごつ(じょうだん)どん言いながら帰りょったら、1人の若衆が、
「ああ、おり屁(へ)ふろごたる。」
ち言うたりゃ、だってん「おりも、ふろごたる。」ち言うたけん、1人が
「ようし、そんなら、だっでん屁ば手でつかめ、だがつ(だれの物)が一番遠くまでもつか、比べよう。」
ち言うたげな。
そっで、皆んな手でつこうで、時々においば、かぎながら、
「ああ、もう臭いのせんばい。」
「いや、おりがつぁ、まだ臭うばい。」
ち、・・・・・そのにぎやかなこと。
東山から下ん庄さん来たじぶんにゃ、もう、だがつでん、臭わんじゃったばってん、源にょむさんのつだけ、上ん庄どころか、三橋さん来たっちゃ臭うげな。
そっで1人が
「ちょっと手ば見せてみろ。」
ち言うけん、源にょむさんの手ば開けて見たりゃ、ちゃんとウンコの、ちいとばっかり、ひっちいとったげな。
「ほんなら、いつまっでん臭かはずたい。」
ち言うて、笑うたげな。
おしまい
松尾静雄先生の昔ばなしは、柳川方言で面白かろが。