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千寿の楽しい歴史
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江戸の子育てに学ぶ(2)・千寿の楽しい歴史
江戸の子育てに学ぶ(前回から続く)

3.おれもはしで食べやう

生活習慣のしつけについては、どうだろうか。箸の使い方については、天保10年9月5日にこう記されている。

この間、新地の鐵坊がきて箸で食べる故、おれもはしで食べやうといふてさじを止め箸にて食べ、それから毎日箸でばかり食べる。

洗顔や歯磨きについては、同月7日にこう記している。

歯を塩にてみがけば、おれにもくんなへという。すこし手の平へのせてやる。

いっしょになって井戸端へゆき水をくんでやると、口をそゝぐやら、顔をあらふやらお爺のまねをする。

満2歳8ヶ月の頃だから、現代に比較すれば、かなり早くから箸を使い出したり、洗顔、歯磨きを始めている。

しかし、それも意識的に教え込まれたものではなく、鐵坊という年の近い子供の真似をして箸を使い出したり、祖父の真似をして歯磨き、洗顔を始めている。

鐐之助の得意げな顔が、目に浮かぶようである。

子供は何でも年長者の真似をしたがるが、それは成長の原動力なのであろう。

子供にはそれぞれ成長の時期があり、内発的に年長者の真似を始める時期をとらえて、習慣を身につけさせる、というのが、江戸の子育てだった。


4.灸をすえる

鐐之助が祖父母を困らせることもよくあった。

困ったという記述で最も多いのが、「大口」と「わやく」である。

大口は、子供が偉そうな口をきいたり、みだらなことを言うこと。わやくは、無茶を言うことである。

天保10年8月22日の日記にはこうある。

日に増し、べろはまわる。

わやくもする。

あまりわるさをするときは、越後へやってしまふというと、もう止める、止めるといふゆへ、そんならおとなしくしやれという内、またにこにこしながらわるさをする。

越後とは父母のいる所だが、すでに祖父母との生活に慣れた鐐之助にとっては、知らない所に連れて行かれる、という事だったのだろう。

また、3ヶ月ほど後には、近所のおばさんがお触れを持ってきたのを鐐之助が握って放さず、しわくちゃにするので、祖母が無理にとりあげた所、大だだを起こした。

本当に悪さをした時の唯一の対処方法は、灸をすえることである。

祖父は仕事で外出していたので、祖母と10歳ほど年上の姉・おなかが二人がかりで腹に灸をすえようとしたが、力があってうまくできない。

ようやく一つすえたが、それでも、まだお触れをよこせとだだをこねている。

しかし、灸はさすがに効果があったようで、その後は「灸をすえる」というと、悪さをやめている。

困ったというのは、可愛い孫が悪さをしないように仕向けたいのに、なかなかできない、という愛情と困惑の入り交じった感情であろう。

子供もそんな愛情と困惑を感じ取っていくうちに、だんだんと肉親を困らせないようにしよう、と成長していく。

(次回に続く)

by kusennjyu | 2011-07-10 10:06 | 歴史学習会 |Topに戻る