千寿の楽しい歴史
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民話 丼川(どんぶりがわ)の河童・千寿の楽しい歴史
民話 丼川(どんぶりがわ)の河童

朝鮮松原の近くに丼川(どんぶりがわ)があります。矢部川が急に湾曲し、大きく川岸と底をえぐられて淵(ふち)になっている所です。名鶴の井堰(いぜき)のすぐ下です。

青々とした水をたたえて、静まり返っているようでいて、中では大きくぎり(うず)を巻いています。

昔、ここに沢山の河童(かっぱ)がすんでいると言って、村人たちは恐れ、子供たちを決して泳がせませんでした。付近を通る人々や牛馬を引っ込み、遊んでいる子供たちは、すぐ殺されて生き肝(きも)を取られてしまいます。

生き肝を取られた牛馬や人間は、皆んな尻の穴から手を突っ込んで、肝や腸(はらわた)を食べられます。だから、おぼれた人で尻の穴がボーンと開いているものは、絶対に助かりません。

付近の人たちは大変に困って、いろいろと相談したが、河童退治の名案は、なかなか浮かびません。

本郷に知恵者で有名な、1人のおじいさんがいました。ある日、何を思ったか藁束(わらたば)を持って丼川へ出かけました。

川岸に腰を下ろすと、1日中せっせと縄をない続けました。これを見ていた1匹の河童が、不思議に思って尋ねました。

「おじいさんは、おれたちが怖くないの。」

と言うと、おじいさんは、

「ああ、ちっとも怖くないよ。わしは泳ぎの名人だからね。お前たちに負けないよ。」

と言いました。河童は、

「ふうん、それで、ここで何してるんだい。」

と言うと、おじいさんは、

「見かけのとおり、縄をなっているんだよ。この縄を伝って川底まで下りて、お前たちを、しばってしまうんだぞ。」

と言いました。すると河童が、

「なんだ、そんなことかい。お前さんが、いくら長くなったところで、この川は底なしだからね。とても下りては来られないよ。」

と言いました。おじいさんが、

「いやいや、わしの縄はとても長くて、どんなに深くても絶対に届くぞ。」

と言うと、河童が、

「ようし、そんなら長さを測ってみよう。」

と話しているうちに、おじいさんは、縄の端と端をしっかりと結びました。

それとは知らぬ河童は、一生懸命に縄をたぐるが、縄はクルクル回るばかりで、いつまで待っても切れ目がありません。

とうとう、河童は恐ろしくなって、おじいさんに降参しました。そして、

「もう決して人間様や牛馬にわるさ(いたずら)をしません。また、人の前には絶対に姿を現しません。」と約束をしました。

その後、この丼川では決して人間様にわるさをしなくなったが、約束を守った河童は、生活に困るようになりました。

そこで川獺(かわうそ)に姿を変え、魚を取って食べるようになりました。

ほんの数十年前、戦時中までは、漁師がちょいちょい川獺を釣り上げていました。この川獺こそ昔の河童の子孫に違いないが、」最近、丼川がいくらか浅くなったせいか、ほとんど見かけなくなりました。

青色~河童   緑色~おじいさん。

  松尾静雄氏の「瀬高むかしむかし」より。
by kusennjyu | 2011-07-12 03:37 | みやま市の民話と伝説 |Topに戻る