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2016『日記』ならびに『骨肉』掲載向野啓助の図画をめぐって・千寿の楽しい歴史
『日記』ならびに『骨肉』掲載向野啓助の図画をめぐって

平成28年9月17日記念発表会 

山田氏発表より

場所  向野堅一記念館にて

向野堅一・孝子夫人の四男である啓助の日記には、図画を含む成績が記されている。

1・「帽子の絵」と「柿の絵」 尋常小学4先生(大正3年)  

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帽子の絵」は、学生帽と麦藁帽子の輪郭が鉛筆で描かれ、水彩絵の具で薄く着彩されている。写生画であり、赤く塗られているところには重ね塗りが確認できる。

左端には兄から「もうすこし陰影をつけてかいたらおかしくないだろう」と平面的に塗られていることから
一段上に導くためのアドバイスが記されている。

柿の絵」は、鉛筆で柿の断面を描いていっる。輪郭は薄く、種の部分やへたを黒く塗るのみで、影や柿の色は表現されていない。

右端には「もうすこし丁寧に描け」とコメントが寄せられている。つまり「帽子の絵」に附されたコメントは生かされていない。ところが、この部画は日記によると「」の成績なのである。 

2・「胡瓜の絵」と「椎茸の絵」 尋常小学5先生(大正4年)

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「胡瓜の絵」は、教科書に掲載されている課題に取り組んだ際の図画だと推測される。胡瓜が置かれている面には影が塗られており、対象が立体的に描かれている。胡瓜が置かれた床に落ちる影がはっきり描かれ、床を意識した描写、斜めから見た立体的な構図が描かれている。この床に落ちる影は、教科書の手本にない表現であり、啓助が描き加えた工夫だと推測される。

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椎茸の絵」は、重ね塗りがなされている。」ただ、「帽子の絵」ほどはっきりとした陰影を表現した重ね塗りや床面に落ちる影の描写は確認できない。

仮題は写生ではなく臨画であり、手本通りに描くことが高い評価につながる課題である。細い線で丁寧に引かれた墨汁の輪郭線や傘の裏のひだまりまで丁寧に写し描いていることが確認できる。

3・『啓助日記』(大正4年)に描かれた押絵

大正4年と大正8年の・『啓助日記』を比較すると、明らかに違う点がある。1つは「文章量」、もう1つは「押絵の有無」である。大正8年の・『啓助日記』では、文章量が大幅に増え、押絵は全く描かれていない。

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4・『啓助日記』(大正4年)に記された学校の成績

成績は、押絵が多く描かれた大正4年3月20日の日記に記されている。

算術 甲 詠方 同 綴方 同 体操 同 図画 同

修身 乙 手工 乙 唱歌 乙 操行 乙 総評 甲

当時啓助は尋常小学4年生。今日でいう主要科目(国語等)に当たる教科は「甲」であるのに対し、」技能科目は図画以外「乙」である。

大名尋常小学校のの通告俵から3学期制であったことが確認できる。

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5・啓助の進路希望とその後のあゆみ


啓助は『骨肉』第四巻第二号(大正6年4月)に以下の作文を投稿している。

我が希望

僕は中学に入れたら卒業して士官学校へ入りたり何も征服制帽と言ふやうな望みもない唯々軍人になって国家のために倒れたいのが目的である。僕の父は僕をして商人になさんとされるが考へて見ると僕にとっては商人は不適当であろうと思ふ。なんとなれば僕は人と交際することや又商人の様にへり下ったりすることをすかないからもし僕の父が僕を商人になされたならば僕は大阪とか東京とかいふ様な小さな所では満足はしない世界を相手とする大商人になろうと思ふ。これとても自分に幸福を得るためになるのではない国家の富を増やすためである。もし我が希望通り軍人になれたら国家のために十分に働いて世界の靖国に我が日本の威光をかがやかせてぞ我が希望は達し得らるるのである。されど運命の紙は我をどの方面に導であらうか。

ちょうど小学6年を卒業し、中学入学を控えた時期に記された作文である。父堅一は啓助に商人になる事を望んでいること、対して本人は、自分の適性や信念から士官学校への進学、軍人への道を目指すことを明記している。実際、啓助は中学を中退し、陸軍幼年学校に入学し軍人となる。

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終ります。有難うございました。


    
  


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by kusennjyu | 2016-09-25 13:07 | 歴史学習会 |Topに戻る