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千寿の楽しい歴史
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2016菅原道真公絵巻(天井絵)の解説・巻四後半・千寿の楽しい歴史
菅原道真公絵巻(天井絵)の解説・巻四後半

肥前一宮 與止日女神社

勅使を筑紫の安楽寺に送る

一条天皇の時代、菅公に正二位・左大臣の官位を追贈された。その位記(いき)・詔書(しょうしょ)を携行するために、道真の子孫の菅原幹正が勅使として差し遣わされた。

正暦4(993)年8月19日、幹正らは、大宰府に参着した。翌20日の未(ひつぎ)時(午後2時頃)、安楽寺に参詣(さんけい)した。

位記の箱を置いて、うやうやしく拝礼して、位記を読み上げた。すると、詞を書いた1枚の紙が、玉簾(たますだれ)のあたりから舞い落ちた。

勅使・幹正は、この紙を拾い上げると懐中(かいちゅう)にしまった。京に持ち帰って、1件を報告した。この紙は内裏の外記局(げききょく)に保管した。筆跡は、小野東風の書にそっくりであった。

同5年ふたたび追贈が仰せ出された。こんどは、正一位にのぼり、太政大臣を贈るというものであった。またしても、託宣の詞があった。この詞を人々が一度でも口ずさんだならば、一日に七度守護しようぞ、と託宣せられたという。

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場面 八十~八十一

勅使・菅原幹正の筑紫参向の図である。詞書に従えば、安楽寺となっている。が、画面は
宝前には、左右に阿吽の狛犬が置かれている。中央には、黒漆塗りに、金銅金具を打った五斗台(ごとだい)が据えられている。神饌(しんせん)を泰安(たいあん)する台である。

階下の机に、位記の箱が安置された。やおら位記を取り出した幹正は、声高高と読み上げた。
道真没後の90年めであった。遠祖の怨念を、ここに晴らすことができたのである。幹正の胸中いかばかりであったことか。

侍賢門院(じけんいんもん)の召仕の女、女房の衣装を盗む

侍賢門院(鳥羽天皇后)が、まだ皇后のころのこと、女房の1人が、衣装がなくなって大騒ぎとなった。疑いをかけられた女房が、北野社に参籠(さんろう)して、その出現を祈った。

その時の彼女の歌は、<思ひ出づやなき名立つ身は憂(う)かりきと、現人神(あらひとがみ)になりし昔を>と。

すると、敷島(しきしま)という召仕の女が、みずから盗んだ衣装を鳥羽院の前に差し出した。むろん、菅公の霊験(れいげん)であったのだ。

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場面 八十二~八十三

これは、北野社の拝殿の一隅。上畳を敷き、几帳や屏風をめぐらして、局(つぼね)を構える。

衣裳窃盗の嫌疑をかけられた女房が、七日七夜参籠した。白の小袿(こうちぎ)を着て、胸に赤い掛帯(かけおび)を掛けている。

当時、社参の女性に必須のいでたちであった。手には念珠を掛け『法華経』の読誦に余念がない。

やがて、宮中から火急の使いが到着した。「ご安心なされませ。盗まれた衣装が見つかりましたよ。あの召仕の敷島が盗んでいましたそうな」。女房の1人が、息せき切って告げるのであった。

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場面 八十四~八十五

画面が変わる。長い簀子をめぐらした建物が見える。妻戸が、ぴたりと閉ざされている。中門のあたりに、狩衣装の殿上人が、中をうかがっている。

場面 八十六~八十七

胸元をはだけた女が、頭に美しい女房装束を被りながら、躍り出た。

これは清涼殿の庇の間。青い簾が、女の紅の袴と対照的な美しさを見せている。

簾子の上を足拍子をとりながら、踊るようなしぐさ。「これなる衣は、わらわが盗んだ。わらわが盗んだ」と、歌うように大声を上げるのは、狂女となった召仕の敷島である。

中門のあたりの公卿の一団。「おのおのがた、あれをおみやったか。敷島めが、衣を被って踊っているではございませぬか」と、いぶかるのであった。

院の女房、阿闍梨仁俊(あじゃりまさとし)に恋慕する

治部卿・藤原道俊の子に世尊寺の阿闍梨仁俊という高徳(こうとく)の僧がいた。

鳥羽院に近侍(きんじ)の女房の1人が、恋心を打ち明けた。これを避けた仁俊は、北野社に参籠して一首の歌を詠んだ。

ところが、彼女は、紅の袴だけの姿で、仁俊にうそ偽りをいった報いと、錫杖(しゃくじょう)を手に踊り狂った。

そこで、帝は仁俊を召して、彼女を助けるように下命された。仁俊が不動明王の慈救呪(じくのしゅ)を修すると、彼女の狂態が醒(さ)めた、という。仁俊は引出物(ひきでもの)として、薄墨(うすずみ)という名馬が贈られた。

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場面 八十八

雪のような肌、豊満な乳房。狂った彼女は、錫杖を手に振り鳴らしながら、踊り回る。その不憫な姿に同情された帝は、仁俊を召し出した。「阿闍梨、彼女を助けてとらせよ」と下命した。

これは清涼殿の庇の間。仁俊は、彼女の前に座ると、念珠を揉みながら、不動明王の慈救呪を口ずさみ、一心に祈った。

すると、彼女は、放心したように、錫杖を下ろし、両腕で胸を覆った。「ああ、わらわとしたことが、はしたない」と、顔を赤らめて正常の女に戻ったのである。

場面  八十九~九十

これは(異時同図)の法。阿闍梨の効験(こうけん)を賞した帝が「たそある。阿闍梨に引出物をとらせよ」と下知する。これは鳥羽院の愛馬“薄墨”である。今日の阿闍梨の働きには、まことに相応の引出物であった。

2人の随人(ずいにん)が手綱(たずな)を取って、帝の面前に引き出した。「阿闍梨、本日はご苦労であったな。あれなる馬を引け」と帝は、御簾(みす)の内から、仁俊阿闍梨に声をかけた。

巻五に続きます。







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by kusennjyu | 2016-12-22 15:46 | 歴史学習会 |Topに戻る